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時間発展する系の量子化学計算法

溶液中の化学反応をシミュレーションで再現

コンピュータを使って分子シミュレーションを行えば、目で見ることができない分子の構造や挙動を仮想的に再現、可視化できます。分子シミュレーションには、大まかに3つの分子モデルがあります:
 ①古典的なモデル(MMモデル)、
 ②量子化学的なモデル(QMモデル)、
そして、
 ③その2つを組み合わせたQM/MMモデル
です。それぞれのモデルに長所短所があり、目的に応じて使い分ける必要があります。現在の化学反応のシミュレーションは、真空中を対象に行われています。しかし、重要な化学反応の多くは、溶液中や蛋白質などの生体分子中で進行します。QM/MMモデルは他の2つのモデルと異なり、溶液系や蛋白質系での化学反応に応用できる可能性がありますが、時間発展を取り扱うことが困難でした。私たちは、この困難を克服する工夫を施して従来のQM/MMモデルを拡張することで、時間発展を正しくシミュレーションできる方法を開発しています。これにより溶液系やタンパク質系の化学反応をシミュレーションで再現することをめざしています。