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Mn4CaO5の「ゆがんだ椅子」型構造はCa2+のせい?

ある講演の質疑応答で、photosystem IIとは関係ない研究をしている方から講演者へ質問がありました:「Ca2+の役割は何ですか?」

photosystem IIを研究している研究者からはおそらく出てこない質問だと思います。しかし、わかっているような気になるのは、勝手な思い込み・慢心であることもしばしばです。講演者は「Mn4CaO5構造に歪みを与えて反応性を高めているかもしれない」と答えました。

図 「ゆがんだ椅子」に例えられるMn4CaO5錯体の構造

このやりとりを客席から傍観していて決めました。それならこちらで確かめてみようと。

実際はCa2を欠損させても、Mn4O5骨格は変化しませんでした。一方、dangling position(椅子の背板)にあるMn4を欠損させると、椅子の土台の歪みは大きく変化することがわかりました。

Ca2+が歪みを誘引しているサイトではないことを、世界で初めて石北研究室が明らかにしました。、以下の論文に記載されています。引用してご活用ください。

知っている気になって、実は誰もきちんと確かめていないネタって結構あると思います。そこに気付くことも、センスとして重要だと思います。

Keisuke Saito and Hiroshi Ishikita*
Biochim. Biophys. Acta  (Bioenergetics) 1837 (2014) 159-166
“Influence of the Ca2+ ion on the Mn4Ca conformation and the H-bond network arrangement in Photosystem II”
Journal Pubmed